ハラミュージアム アーク

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設計期間 1987年1月-1987年5月(アーク)
1989年6月-1989年12月(カフェ)
施工期間 1987年6月-1988年4月(アーク)
1990年1月-1990年9月(カフェ)
延床面積 866m2(アーク) / 180m2(カフェ)
施主 株式会社 日本土地山林
建築設計 磯崎新アトリエ
構造設計 川口衛構造設計事務所
設備設計 環境エンジニアリング(アーク)/ 井上工業(カフェ)
照明設計 TLヤマギワ研究所

PHOTO CREDIT: GA Photographers/ Shinkenchiku-Sha

ハラ ミュージアム アークは東京にある原美術館の夏季分館として、伊香保のグリーン牧場の一隅に建てられた現代美術館である。榛名山麓の広大で豊かな自然景観の中に置かれたこの建物は、様々な意味において都市部の建築とは異なる性格のものとして設計された。

建物は、中央部のピラミッド型のスカイライトを持つギャラリーと、その両側に長方形のギャラリーをシンメトリカルに翼状に広げた形で配置している。それらのギャラリーをつなぐ位置にはエントランスロビーが設けられている。ギャラリーはその機能上完全に温室度調整がなされているのに対し、エントランス部分は屋根がさしかけられてはいるが、外部に対して開放されている。野外コンサートなどのイベントが行われることが想定されており、それに対応した設計がなされている。ロビーは舞台となり、前庭は自然の勾配を利用した観客席となり、両翼のギャラリーがそれらを取り囲むような背景として転用される。

建物は、すべて木造で作られている。これは、オーナー自身が木材を扱う仕事をしていることと、都心部では許容されない構造方法が可能であるという立地条件によるものである。

ギャラリー内部は白く塗装された展示壁面のみで、その壁面を展示空間として最大限有効に活用するため開口を設けていない。そのため、採光はトップライトのみとなっている。内部とは対照的に外壁やロビー部分の木部はすべて黒くステインされている。屋根はピラミッド部が黒色スレート、ヴォールト屋根はジンク貼りで、外観は黒一色となっている。

アーク・カフェは、アークの増築棟として建てられたカフェテラス、ミュージアムショップ等を収容する建物である。

建物は敷地の高低差を利用し、一段低い駐車場に面した側を2層とし、下階にスタッフルーム、倉庫を配することで、上階にはカフェとミュージアムショップ、そして眺めのよい側にそれらを取り囲む形でテラスを配している。この構成により、可能な限りの眺望を得ることが可能となった。

既存の美術館とデザイン上の関連性を持たせるため、建物の基本フォルムはアーク本体の事務所棟と同一のピラミッド屋根を持つ、6m×6mの単位ユニットを組み合わせたものとした。L字型に構成された3個のユニットそれぞれのピラミッド頂点を結び、尾根をつくるかたちでトップライトが架けられている。

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