COSI:オハイオ21世紀科学工業センター

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設計期間 1994年4月-1997年1月
施工期間 1997年4月-1999年11月
延床面積 21,442m2:新築部
8,353m2:改修部
施主 オハイオ州
COSI Building Development Finantial Resorce Corporation
建築設計 磯崎新アトリエ
現地協力設計事務所 NBBJ Columbus/ Moody Nolan
構造設計 Korda Nemeth Engineering
設備設計 HAWA Incorporated
プログラムマネジメント Project Control System
照明設計 FIsher Marantz Stone
グラフィックデザイン Estudio Mariscal
ランドスケープデザイン SASAKI Associates/ Peter Walker & Partners
音響設計 Acoustic Dimensions

PHOTO CREDIT: Shinkenchiku-Sha

オハイオ州、コロンバス市の中心街に立つ、アメリカで最も先進的な展示内容を持つ科学博物館の移転計画である。

このCOSI-Center of Science and Industry Columbus Ohio-はすでに35年の歴史を持つ博物館で、今回その革新的とも言える展示内容に対応するため、施設の規模拡張と設備充実が求められた。新しい敷地は、コロンバス市の中心街の西を大きく蛇行して流れるソシオット川岸に位置し、国の歴史建造物の指定を受けたボザール様式の古いハイスクールが残るモニュメンタルな場所といえる。

プログラムは、20,000m2の屋内展示場、二つの特殊映像ホール、オープンなパブリックスペース、そして旧ハイスクールの一部を改修し、それをプロジェクトに組み入れることであった。歴史的視点により、この場所を東から西へのフロンティアが展開されたその先端と考え、西に向かう楕円状の壁面がまず西側に設定された。楕円形の平面と緩やかにカーブする断面形を持つこの壁は、敷地の記念碑性と街の都市的スケールに対応できるフォルムとして、建築のスケールを超えた、巨大かつ単純化された面で構成された。この高さ20m、長さ300mのプレキャストコンクリートパネル製シェルの中には階高9mの2層の展示空間が収容され、南北に走る主要通路に連結されている。また、金色の金属サイディングをまとった円筒形のメインエントランスの上部にはスペースシアターが内包されている。

それに対し東側は、常に文明・歴史・過去の波を意識するように旧ハイスクールのファサードがダウンタウン側に向いている。ファサードは、フォーマルなエントランスとして改修保存された。

西側の革新と未来、東側の伝統と過去をつなぐ空間として、立方体アトリウムとスカイライト屋根に覆われたロビーがある。ハイスクールと主要通路はアメリカ中西部の街を構成するジェファーソン軸、メインエントランスとアトリウムは真北軸、そのアトリウムに架かる2本のスカイライトは磁北軸を基準に配置され、すべてこの中央のパブリックな空間で結ばれている。

このプロジェクトでは、複数のクライアント・市民運動団体・著しく低い建設予算といった、アメリカ地方都市の典型的な状況に対し、日本的なプロセスや思考を排除し、仕上げやディテールを現地で最もやりやすい方式や材料に置き換え、施工システムを単純化させることで対処している。

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