スペインはガリシア地方のラ・コルーニャという町に建つ、“人体”をテーマにした博物館である。 海側に面する、プレキャストコンクリートの上に地場産スレート版が貼られた、緩やかに円弧を描く壁と日本の屏風のようなジグザグ状の連続した御影石の壁面が設けられ、この2つの性質の異なる壁面の間に展示空間が広がっている。 内部の展示空間は、一つながりの空間で、岩盤沿いに折れ曲がったスロープがあり、3層になったレベルを有機的につなぎ、展示の順路を形成する。展示室内は、床、手すりなどすべてスレート版で貼られている。壁沿いまたは床上に独立して、インタラクティブなシステムを持つ展示がなされ、上部から制御された自然光が降ってくる。 順路の最後は各種の映写装置を備えた講堂であり、ここでは映写のみならず講演なども行えるよう配慮されている。講堂の上部階には、博物館の事務機能が集約されている。 施設最下階のレストランは眺望が重視され、ラ・コルーニャで伝統的に用いられている、ガラスのギャラリー窓を参照したファサードが設けられている。
ラ・コルーニャ人間科学館
設計期間 | 1993年2月-1994年9月 |
施工期間 | 1994年5月-1995年4月 |
延床面積 | 4,019m2 |
施主 | City Council of La Coruna |
建築設計 | 磯崎新アトリエ |
現地協力設計事務所 | Estudio de Arquitectura Cesar Portela |
構造設計 | Julio Martinez Calzon |
設備設計 | Euroconsult |
PHOTO CREDIT: GA Photographers/ Katsuaki Furudate/ Hisao Suzuki