兵庫県が推進、建設中の播磨科学公園都市に、最初の文化レクリエーション施設として計画された音楽専用ホールである。このホールは、立地する地域の特性や、他のホールとの違いを打ち出すために、現代音楽を主眼に置いたホールとして計画された。
敷地はピーター・ウォーカー氏によるアーバンデザインが進行中である、新都市の中心地区の一角にあり、道路交差点を中心にした4分の1円形のゆるいすり鉢状の傾斜を持った土地である。この傾斜の中に、半ば埋め込まれるようにして直方体の500人収容可能なホールが設けられる。それを内包するように長円形平面のガラスのシェルターが掛けられている。ホールはエンドステージ形式であるが、新しい演奏形態への対応を考え、客席の前1/3の椅子を取り外し、段床をせり上げて固定ステージと一体化した平土間としても使用可能なように計画されている。音響面では、比較的響かない傾向を好む現代音楽向けに設計されてはいるが、古典音楽や民族音楽にも適するよう、機械的及び電気的手法により残響時間を調整することが可能である。ホール真上にあり、シェルターに覆われたアトリウムは、天候や温湿度の状態によって屋根が開閉する半戸外の空間として計画されている。ここは第2のコンサートホールとして、プレコンサートなどに使用可能なほか、日常的に開放され、眺望や空間を楽しむことができる。そして建築から少し離れた敷地内には、第3のコンサートホールとして小規模な屋外演奏会場が用意されている。
なお、この計画は実施寸前に、阪神大震災の影響で中断し、計画それ自体が白紙に戻された。