香港住宅局常設展示場

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施工期間 2000年8月-2001年
設計期間 2001年-2002年3月
延床面積 1,050m2
施主 香港住宅局
建築設計 インテグレーティッド デザイン アソシエイツ
構造/設備設計 Ove Arup & Partners
展示計画 UDA
グラフィック Lilian Tang Design
積算 WT Partnership
受賞 THE AMERICAN INSTITUTE OF ARCHITECTS
Hong Kong Chapter
MERIT AWARD FOR INTERIORS 2002

Kowloon・Homantinにある、香港住宅局本部の建物内に新しく設立された常設展示場である。

この展示場は、住宅局が一般の人々や顧客たちと接するための主要な場所である。また、過去のプロジェクトやプロダクトがディスプレイされる展示場であると同時に、地元の学生たちや外国からの訪問者たちにとっての教育機関という役割も担っている。住宅局にとってこの展示場は、自身が将来を見据えた革新的かつ能率的な機関であることをアピールする狙いがある。したがって、最新の展示技術を用いて、機関のあるべき姿を具体的に描き出し、人々との相互作用を最大限に引き出すことが、設計上のポイントして求められた。

私たち設計チームは、コンセプトデザインのコンペによって選ばれた。私たちの提案は、この小さく限られた空間の中で、展示の場所を最大限確保できるように、床・壁・天井をすべて利用することであった。

展示は、時間の流れとしての過去・現在・未来という3つのゾーンに分けられ、その内容は次のような5つの住宅局のオーガナイゼーションに絞られた。1.住宅局の起こり、2.社会的変化に伴う住宅局の進展、3.現在の社会における住宅局の役割と公共へのサービス、4.住宅局の過去から現在までのプロジェクト、5.住宅局の将来への指針と香港の社会的人口統計変化への取り組み。

展示場床面には、住宅局のこれまで手がけたプロジェクトが示された、1/1000スケールの香港のジオラマ模型が拡がっており、これが先ほど述べたコンセプトをよく実現している。模型の上には、長さ22メートルに及ぶ鉄骨造のガラスブリッジが掛け渡され、展示場全体を見渡すことができる。

ガラスブリッジには説明文が記されていると共に、スタンドにとりつけられたコンピューターディスプレイが5基設置され、ディスプレイ上の照準を展示エリアのある特定の模型や展示パネルに向けると、そのプロジェクトに関するデータが表示される仕組みになっている。

壁面展示は、奥行き方向に3つの層が設定され、それぞれの層にパネルもしくはオブジェが並べられる構成となっている。一番手前はガラスが吊られており、そこに展示物に関する一般情報が、静止画もしくは動画として投影されている。その奥の層には実物大の模型など、オブジェクトが展示されている。その背後には、プロジェクトが行われたそれぞれの時代の、社会的・文化的背景を物語る、詳細な情報を表示した固定パネルがあり、グラフィックや物品が展示されている。

パネルはすべて天井から吊られているため、床から浮いており、軽やかな表現となっている。ガラス張りの床越しに、展示場全体に拡がっているジオラマ模型を見ることができる。

未来のプロジェクトに関する展示ゾーンでは、ヴァーチャルスコープを使って仮想空間を体験する、インタラクティヴな展示システムがある。また、多くの子供たちがこの施設で調査・研究を行うために、住宅局のウェブサイトにアクセス可能なコンピューターを備えたインタラクティヴエリアも用意されている。さらにこのゾーンには、子供たちに住宅局の様々な役割について理解してもらうため、住宅局スタッフになりきり、劇を演じてもらうゲームも用意されている。

インタラクティヴエリアの役割はもう一つあり、それは住宅局が提供している他のサービスや、一般投資家からの投資を募っているプロジェクトについての情報の開示・閲覧である。環境にやさしい公共住宅という考え方、そして生活環境の計画において、地域の人々がかかわっていくという考え方は、香港の大規模な公共住宅の開発において新しいコンセプトである。この展示場は、このコンセプトを広めて、一般市民に支持・奨励してもらう役割も担っている。

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