伊豆現代美術館 計画案

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設計期間 1990年1月-1990年10月
延床面積 10,000m2
施主 EIEインターナショナル
建築設計 磯崎新アトリエ
構造設計 木村俊彦構造設計事務所

PHOTO CREDIT: GA Photographers

静岡県伊東にほど近い伊豆グランパル公園の一画に、まったく新しい構想のもとに計画された美術館である。

1945年以降を中心とする、一般的な現代美術館に対して、この美術館は1990年以降を中心とする。すなわち今世紀末最後の10年間に、毎年10人のアーティストを全世界的に招聘し、個展形式での展示を行い、同時にその一部もしくは全部を収集していく。世紀末美術館であると同時に未来美術館ともいえる性格を持つ。したがって美術館そのものも、こうした活動に基づいて構成された。

施設は基本的に、特別ゲストハウス、収蔵・展示室、ギャラリーの3つによって構成される。特別ゲストハウスは敷地内の最も高い位置にあり、特別展示室、管理・学芸部門、ゲストハウスからなり、グリーク・クロスを基本としたロトンダの形式をもつ。いわば迎賓館でありヴィラとしての美術館である。50m四方の池に沿って回廊で結ばれているのが、収蔵・展示室と言うべきもので、毎年のコレクションを収蔵し、かつ展示する。ポストテンションのシンプルビームとユニットスカイライトからなり、収蔵庫としての美術館である。ここから海を見下ろす尾根沿いに、10人のアーティストに対して10のギャラリーが散在する。これらのギャラリーは、各アーティストのインスタレーションに多様な可能性を持たせるために、10種類の異なったサイズ・プロポーション・天井高・光の分布よりつくられた、いわばロフト的な性格をもったギャラリーである。アーティストは各自与えられたギャラリーで制作活動を行うこともあり、スタジオ(アトリエ)がそのまま展示室となる。来館者はこうした様々な空間を回遊しながら作品に接し、同時に周囲の自然と眺望を楽しむことができる。

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