都心に住む漆芸家のアトリエを兼ねた別荘である。夏だけに限らず冬場もこの地を訪れ、創作活動をおこなう施主にとっては単なる避暑地型の別荘では終わらない“栖”が必要とされていた。
生活の静と動。言い換えれば、創作活動を含めたプライバシーを重んじる部分と、人々との交流などのオープンな部分である。この2つの環境要素の融合によって平面計画が構成されている。中心にあるリビング・ダイニングを囲うように、北西にL字型のプライベート空間をそして、南東側に同じくL字型のデッキテラスを設けて、閉じた空間と開いた空間を意図的に分け、かつ共有できるようにした。 個人領域、家族領域、自然領域という生活用途を明確化させながら、必要に応じ、中央の家族領域が個人・自然のどちらの領域にも属せるように引き戸で仕切り、同時に廊下をなくし、短動線でコンパクトな平面構成となっている。
-TWO SQUARES-(重なり合う領域)
ふたつのの正方形が重なった部分に生まれた家族領域は双方に設けられた引き込み可能な戸によって、個人、自然領域のどちらの領域にも属することができ、そのときどきの必要に応じた空間設定ができる。