サン・セバスチャンK地区再開発計画 計画案

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設計期間 1990年
延床面積 63,600m2
施主 City of San Sebastian
建築設計 磯崎新アトリエ
音響設計 永田穂建築音響設計事務所

PHOTO CREDIT: GA Photographers

スペイン、サン・セバスチャン市の文化複合施設の設計競技応募案である。

サン・セバスチャン市はスペイン北西部、大西洋に面したバスク地方の中心都市である。敷地は海に面した三角形の土地で、南側は古い市庁舎や劇場を結ぶ市の重要な都市軸のひとつに面している。コンペのプログラムは、1,500席収容のオーディトリアム、500席の小ホール、多目的ホール、展示ホールなどからなる文化施設で、それに2期工事分としてオフィスやホテルなどが将来附加されるというものである。オーディトリアムの主用途は国際会議などの各種コンベンションにあったが、演劇やコンサートなどにも幅広く対応できるものが要求された。

提出案は、道路側の板状ブロックに2期工事分のプログラムをまとめ、大ホール、小ホール、多目的ホール、展示ホールのヴォリュームにはそれぞれ特徴ある形態をあてはめて海側に配置する全体構成をとっている。中央の空中に浮いたマッシブなブロックが小ホールで、その下部の吹き抜け空間は海に向かって開いた共通のエントランスロビーになっている。大ホールでは、音響上の新しい提案がなされている。1,500席の客席は数百席ずつにブロックで分割され、それらが集合してひとつの大きな箱の中に収められた形式をとっている。これは、必要な座席数を確保し、かつ1,000席以下のホールに見られる、優れた音響特性を維持しようという目的から採用された、いわばワインヤード方式の発展型と考えられるものである。

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