深セン文化中心

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設計期間 1999年10月-2002年12月(建築一般)/ 2000年4月-2001年7月(特殊内装)
施工期間 2000年9月-2003年9月(予定)
延床面積 89,684m2 (地下階 30,467m2を含む)
施主 深セン市
建築設計 磯崎新アトリエ
現地協力設計事務所 北京市建築設計研究院
構造設計 川口衛構造設計事務所
設備設計 森村設計
照明設計 Fisher Marantz Renfro

PHOTO CREDIT: GA Photographers

香港の北側に隣接する、中国広東省の深セン市に計画された、図書館及びコンサートホールを複合した文化施設である。

深セン市は70年代末より中国本土の経済特区として独自の成長を続けている都市で、市の中心部から西側に位置する福田地区に新市街の開発が進められている。その新市街の北部に文化中心地区が設けられ、そこに2,000人の客席を有するコンサートホールと蔵書数400万冊の図書館の建設が計画された。設計者選定の国際指名コンペが実施され、最終的に我々の案が選ばれた。

敷地は中央部が道路で分断されているが、北側のコンサートホールと南側の図書館とは、地上6.6mのデッキによって連結されている。これは両施設の共通の前庭であり、水のカーテンと波打つ局面を描くガラスのカーテンウォールが、市民を中央部のそれぞれのエントランスへと導く。このエントランス部分はガラスの多面体で構成されており、それを支える構造体は、黄金に輝く木を想起させる形状となっている。これを抜けると高さ40mの黒い壁体とガラスカーテンウォールの間に緩やかな弧を描く大屋根が掛け渡された大空間が広がる。図書館側ではこの大空間そのものが閲覧室となり、コンサートホール側ではワインヤード型のホールの量槐が内包されている。両施設の一体化は地下部分でも図られている。デッキ下部の道路には、共有の車寄せやバス停、駐車場への出入り口が設けられている。地下の駐車場も両施設への連絡口があり、共有化されている。このようにコンサートホールと図書館とは意匠面のみならず、プランニング面においても連続した統合体となっている。

本来、このコンペにおける、コンサートホールと図書館とは、敷地も分断され、運営時間も目的も異なるもの同士であった。しかし、両施設を統合し、文化中心地区そのものを都市的なスケールで明確に区切ることにより、地区の特色がより顕在化したのとともに、施設利用のタイムシェアリングが可能になるなど、運営上の新たな可能性をも獲得することとなった。

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