静岡市と清水市の中間に位置する、旧JR用地再開発計画の中核となる施設として計画された、文化複合施設である。
コンベンションホール(最大5,000人収容)、中ホール(劇場としては800、音楽・レクチャーホールとしては1,200人収容)、国際会議場(500人収容)、静岡芸術劇場(400人収容)と、大きく4つの機能が一体の建物として集約された巨大施設で、その姿から「グランシップ」と名づけられた。
現代のカテドラルというコンセプトをもつコンベンションホールは、天井高さが60mにも達する大空間である。内部には昇降式の舞台床や可動席、可動の音響反射板、ブリッジなどが備えられ、各種イベントに柔軟に対応することができる。
コンベンションホールに接するように配置された高層部分に、国際会議場を中心とした大・中・小の会議施設群が設けられている。建物のほぼ中心に位置するこの部分には、楕円形の平面をした交流ホールや、展示ホールといった、会議場施設と連動して活用できる諸施設も用意されている。
中ホールは、小ホール(芸術劇場)と舞台が背中合わせに配置され、舞台裏を共有すると同時に、舞台空間の奥行きを必要に応じて深くすることが可能である。演劇専用ホールを基本としているが、舞台の昇降床部分に席を配置し音響反射板を舞台部の天井・壁に設置することにより、音楽、会議などにも対応させることが可能である。
小ホール(芸術劇場)は国際舞台芸術研究所の専用の、楕円形平面をした演劇専用ホールである。原型となるシィクスピアのグローブ座を、視線条件や音響条件を重視して発展させた形式になっている。
スペイン産スレート貼りの大屋根は、楕円平面と放物線の組み合わせにより形作られている。そのダイナミックな形状は、脇を走る新幹線からの高速な移動する視線に対しても、一瞬にしてこの建物を印象付ける力を持っている。