東京都新庁舎 計画案

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設計期間 1985年11月-1986年2月
延床面積 324,961m2
施主 東京都
建築設計 磯崎新アトリエ
構造設計 木村俊彦構造設計事務所
設備設計 尾島敏雄/ 環境エンジニアリング

PHOTO CREDIT: GA Photographers

手狭になった東京都庁を超高層ビルの林立する新宿に移転するにあたって行われた指名設計競技の応募作品である。

他の参加者の案は全て、超高層であったが、我々は低層稠密型の案を提案した。

行政の機構と活動は、様々な部署が多様に連携をとる、複雑な網目状の様相を呈している。この特徴を空間的に満足させるには、垂直のみならず、水平方向にも広がりを持つ3次元のネットワークを実現する建築型が必要となる。これが低層案を採用した最大の要因である。

また、敷地は3つの街区にわたっていたが、庁舎のアイデンティティー・機能性を考慮すると、一体の建物にすることが望ましいと考えた。そこで、2つの街区に人工地盤をかけ連結し、本庁舎および議会を配置した。プログラム上独立した国際会議場については、広場とともに残りの1街区にあてた。そのブロックは新都心地区の中央にあたり、この地区の中心広場という、都市スケール上の役割も持たせている。

網目状の庁舎機構に呼応して、本庁舎の事務空間は、四隅にあるヴォリュームおよびそれらを繋ぐブリッジ、サーキット状の通路、分散された垂直コアから構成されている。コアの分散により、目的別のエントランスを配置することが可能となった。また、4つのヴォリュームに囲われて作り出される十字形の大アトリウムは、公開空地を建物内に取り込んだものであり、複数のエントランス、垂直コアを含み、人々が自由に行き来することが可能な空間である。上部に円形の議場、ピラミッド型のスカイライト、空中庭園が展開するこのアトリウムは、最高部100m、奥行き300mにも達し、庁舎に崇高さ、威厳を与えている。

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