本計画は、和歌山県田辺市にある熊野本宮大社 瑞鳳殿の再建計画である。旧瑞鳳殿が平成23年の台風による水害で被災したことを受けて災害に強い建物とする事を念頭に置き、過去の水害時における水位に基づき床レベルを設定した。
本建物は、大きく三つの機能を持つ。前庭に面した1階は、参拝者のための休憩所として開放され、同時に大社の情報発信を行う。中庭の水盤を挟んだ向かいの中2階は、氏子の祭事、直会や合気道の演舞に利用される大広間(拝殿)がある。そして2階は大社の研修者のための寄宿舎の機能を担う。
構造計画は、耐久性及び耐震性に配慮し、鉄筋コンクリート造と地場産木材による木構造とを適材適所に配置した明快かつ合理的な構造とした。
設備計画は、地 球環境に配慮し、地中熱利用による空気循環型の「クールチューブ」と呼ばれる空調システムを採用した。また中庭には消防用水利用を兼ねた水盤を設けた。