早稲田ノアビル音響ルーム

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設計期間 2005年7月-9月
施工期間 2005年11月-2006年4月
延床面積 46.6m2
建築設計 インテグレーティッド デザイン アソシエイツ
構造設計 山崎亨構造設計事務所
設備設計 波田野設備設計事務所
音響設計 永田音響設計
掲載紙 GRAND OPERA 2006 vol.36

PHOTO CREDIT: I.D.A.

東京都・早稲田にある音響機器ショールームの改装である。

音響関連機器の販売を営む施主が、アンプやスピーカーの音響性能を顧客に体験してもらうことを目的に計画された。自社ビル最上階の自宅部分のリビングルームをオペラ鑑賞を主としたホームシアター形式として改装するよう依頼された。

最上階であるため近隣の日照確保に配慮する必要があり、天井全体で十分な高さを取ることが出来ないという優れた音響を確保する上でのハンディがあったが、ソナスファベール社の「ストラディバリ」スピーカーの断面デザインに倣い、リュートの形を取り入れて凹みのある低位置のドーム天井とした。また反響音については、間接照明を収める場所に吸音材を置くなどして最小限に抑えている。

内装は音響効果を最優先に考慮し、重くて硬い仕上げを選択。壁・天井は石膏ボード三重張りの上に4mmほどの漆喰で仕上げ、床はスピーカー設置部が厚石の直貼りである。また、壁・床・天井といった平行面は、高音域のフラッターエコー(往復反射)や低音域のブーミング(低音共鳴)といった音色のバランスを損なう作用が生じやすいため、壁は上方にいくほど2、3度開く逆ハの字型、天井も同様に中央に向けて傾けることでそれらの障害を防いでいる。

正面の壁にはイタリア伝統のアンティコスタッコ仕上げを施し、欧風空間のイメージを象徴させた。

響きの豊かなヨーロッパの「館」をイメージした、純粋によい音を響かせるための空間という厳格な要求に応える建築的提案を追及した実例である。

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