鮨 「やま中」

<<BACK NEXT>>
設計期間 1995年7月-1996年8月
施工期間 1996年10月-1997年11月
延床面積 726m2
施主 山中啄生
建築設計 磯崎新アトリエ/ 大林組九州支店
構造/設備設計 大林組九州支店
茶室設計 中村外二工務店
照明設計 ヤマギワPDC
ロゴデザイン 西島伊三雄

PHOTO CREDIT: GA Photographers

福岡県福岡市にある鮨屋、「やま中」の新築計画である。

鮨屋としては規模の大きい部類に入るこの店は、そのスケール感や建築素材の扱い方において従来の鮨屋の持つイメージとは異なるものとなっている。この手の和風の空間として暗黙裡に参照される日本建築、特に数奇屋の持つ木割りの比例やスケールを一切無視し、たとえて言うとロフトを改造して料理屋にするような感覚で設計された。

道路に面した正面は半透明のガラスで覆われ、いわゆる鮨屋風の表現は意図的に排除されている。コンクリート打ち放しの壁面に囲まれた入り口を抜けると、半透明ガラスの後ろに2層分吹き抜けた待合の空間に出る。そこから2階の待合まで続く三和土の床の通路は、戸外の路地空間を想起させる。RC造2階建ての建物は、1階にカウンター席とテーブル席及び炊事場、2階には畳敷きの客室と座敷カウンター席、茶室が設けられている。1階カウンターの後壁にはスタッコ調の塗り壁、対面するテーブル席ではガラスの壁に光天井、2階客室では大津磨き壁(和壁最高峰の技法の一つ)、和紙張りの天井、茶室では床壁に鉛板を張る等、店内の内装を素材そのものが語りかけるようなもので構成し、デザイン自体は至ってシンプルなものとしている。

閉じる